災害ボランティア全国フォーラム'05inふくい 〜各分科会の報告(合同全体会議事録抜粋)〜 日時:平成17年6月10日(金)午後1時30分〜 場所:フェニックスプラザ小ホール | |
【分科会/報告者】 A/社会福祉法人福井市社会福祉協議会 小柏博英 B/知的障害者福祉総合支援センターわかたけ 嶋崎正敏 C/社会福祉法人福井県社会福祉協議会 島琴美 D/福井工業高等専門学校 荒木俊幸 【A分科会】 A分科会は、情報伝達と避難ということで、分科会を進めました。 一つは、事例発表を行い、特に高齢者、聴覚障害者、在宅酸素療法患者、そして外国人という4人の方に事例発表をしていただきました。 そのあと4時間近くのグループワークを行い、課題は何かということ、対策はどんなことがあるか、そして残った課題は何だろうかということについて、いろい ろと意見を出し合いました。そして、助言者から随所にコメントを頂きまとめをさせていただいたというふうな進め方で行いました。 いろんな災害時の要援護者という形でいらっしゃいますけれども、共通問題状況としまして、いくつか項目がございます。 ◆地域での支えあい、あるいは見守りの体制の強化 これは従来からよく言われていることだと思います。あとは、身元が分かるものを常に携帯していくようなことも必要ではないだろうかという意見も多々出て きました。また、個人情報保護法がいわれていますけれども、目的を説明して事前確認をとって台帳を作る、そんな動きなんかも必要ではないかということ。そ れと昨年度、災害時のボランティアセンターがあちこちできましたが、高齢者や障害者ご本人自体が災害時のボランティア活動の特性、ボランティアをもっと気 軽に頼んでもいいんだよというふうな特性を、なかなかお知りにならない方も多いですので、そういう災害時のボランティアの特性なんかも高齢者や障害者ご本 人に知ってもらえるような働きかけが必要ではないだろうかという意見も出てきました。 ◆共通問題の状況のその2 これは一番多く出てきたのですが、易しい日本語や絵文字の体制をきちっと確立して、そういったものをふんだんに使ったパンフレットをこれからもっと普及していくべきではないだろうかという意見。 地域住民と一緒に避難訓練。実は避難訓練というと、別に主催者の方は悪気があってやっているわけではないと思うのですが、どうしても高齢者や障害者のかた が抜け落ちてしまうことが多いのですが、そういった方々が入りやすいような避難訓練の平準化、気軽に参加できる避難訓練づくりが必要だということで、防災 関係者や福祉関係者の協議というのも必要ではないだろうかという意見です。 日ごろのその地域での福祉の理解の進み具合にもよりますが、地域住民 と高齢者や障害者本人がもっと継続的にふだんから交流できるような、そういった場づくりをしていく、そういった人間関係づくりが避難時にも役立つのではな いだろうかというような大事さなんかも意見として多く出てきました。 ◆高齢者 具体的な例として自治会で担当を決めておいて、東京などで展開されている「おんぶ作戦」などを展開していくという必要性。 ◆子ども 子ども自身にもっと防災について具体的に防災力を高めてもらえるようなきっかけというのを、地域の中であるいは学校でも、行うべきではないだろうかというふうな意見なども出てきました。 ◆外国人 出身国によっては災害が少ないという国がけっこうありまして、地震や津波というのがどういったものなのかというのがなかなか理解されていない方も多いということなので、危険度を理解してもらえるような訓練をしていこうという対策ですね。 いざというときの窓口が行政なのか国際交流協会なのか、そういったところがなかなか明確になっていないということもありますので、そういったところのふだんの窓口がもうちょっと防災面の取組などもしてもらえるといいのではないかという意見なども出てきました。 ◆視覚障害 音声つきの情報提供、インターネットやメールなどでの情報提供を進めていくということ。それと最低限持ち出し可能な物品をリュックなどにまとめておくというふうな提案がありました。 ◆聴覚障害 世代によって文字の読み書きが困難なかたもいらっしゃるということで、先ほど申しましたが、易しい言葉や絵を早く確立したほうがいいのではないかという意見。それと視覚に訴える情報の伝達方法をもっと積極的に開発していくべきではないかという意見も出てきました。 ◆内部障害 自治会単位でも電源とかバッテリーを含めたサポート体制を確立すべきという意見や、障害者手帳を持つほどではない病弱なかたもけっこういらっしゃるという ことなので、そういった方への対応を、これもやっぱり身近な自治会単位などで考えていくということが提案として出されました。 ◆肢体不自由 自治体の防災備蓄基地に補装具などを配備するといった取組がもっとあっても良いのではないかということ。あるいは、避難がなかなか難しい方にも多いのです が、ふだん例えば自分の家から近くの避難所までのルートをきちっと確認する。自分オリジナルのハザードマップを作るような取り組みを、地域全体でやって いってもいいのではないだろうかという意見などもありました。 ◆知的障害・自閉症 これから施設が解体されるという動きになっています。そうすると、逆にグループホームなどが増えてきます。そういったところで過ごすかたに避難訓練などに 参加してもらえるような働きかけを、まずはグループホームをサポートしている福祉関係者から近隣の人に働きかける、そういった動きというのを作っていくべ き。 自閉症の方ですけれども、避難時とか避難所での生活の過ごし方というのが、どうも見えてこないということもありますので、タイムテーブルづくりなどを図っていくことが必要かなと思います。 ◆精神障害 やはり日ごろからの状況を知ってくれている、理解してくれる人を増やしていくということ、そういった意見などが出てきました。 ◆残された課題 これはいろいろ言い古されているかもしれませんが、団体や職場、施設、学校などに属していない方へのフォローがない。あるいは、あってもなかなか災害に深くテーマにはなっていないという問題が残されています。 高齢者、障害者、外国人の避難について、現状は基本は自分でシミュレーションしなさいというふうなことが多いかと思うのですが、そういった面でのきめの細 かいトータル的なサポート、コンサルティング的なサポート、そういった窓口がなかなかないのではないかという意見です。 これはふだんの福祉活動の在り方だと思いますが、障害者や高齢者の特性が、一般の方にはまだまだ周知されていないという大きな問題が残っています。 あとは災害時の取組。これは福祉関係者に言えるのですが、災害時の取組というのが日ごろの福祉活動の延長であるという認識が、どうも福祉関係者はまだまだ 気がついていないのではないかということです。医療関係者、保健関係者などいろんな関係者がいますけれども、福祉関係者はちょっと遅れているなという印象 があります。 個人情報保護法の取り扱いですけれども、提供は目的さえはっきりしていればそんなに難しいことではないという意見もあったのです が、やはり情報を管理する、その管理の在り方というところで、とらえ方などがまちまちなので、これが壁になってしまっているという問題が残されています。 あとは市町村合併の影響ということですけれども、行政のスリム化ということは都市化にもつながっていくと思います。そうすると、これまであったつながりが何らか薄くなってしまうという問題もあると思いますので、そういった影響も懸念されると思います。以上です。 【B分科会】 B分科会のテーマは「避難所と生活」ということで、ねらいとしましては、過去の事例を見ていきますと、言葉がしゃべれないからとか、周りに迷惑をかけるか らという理由で自ら避難所に入らない人たちがいらっしゃるということです。だれもが安心して避難生活ができる仕組みはないのか、必要なケアを受けることは できないのか、という問題。避難生活での問題点から、復旧し自宅に戻るためにどのような支援や仕組みが必要なのかということを事例報告、各障害、または高 齢者に対する医療支援についての事例を頂いて検討してきました。 それでは、各対象者ごとに報告していきたいと思います。 ◆高齢者 問題点としましては、避難所には多くの医療関係者が来ていただきまして非常にありがたかったが、医療機関の方が多くいらっしゃるため、対応が違うことで、 対象とされる高齢者の方が混乱されることがあったということです。それと、トイレに行く回数を少しでも減らすために自分でトイレに行けるけれどもおむつを 履いていたりとか、水分を十分に取らずに脱水症状になられた方がいらっしゃったという事例も挙がっております。そのような事例をもとにしまして、医療機関 の連携、支援の継続ということで、本人にカルテを渡しまして、そのカルテを、来られた医療者の方に手渡しまして統一した支援を受けることができたというこ と。または、ヘルパーの強化、ヘルパーの人員的な確保、または資質の問題も挙がっております。トイレの問題では、あらかじめ避難所に簡易トイレの準備をし ておくということも一つの方法として挙がっております。 ◆子ども 阪神の事例ですが、揺れの恐怖から夜中の12時過ぎまで壁にもたれかかって動かなかったという4歳の女の子がいらっしゃいまして、その方のお母さんに対し まして、1日に2回は愛情をもって抱きしめてあげるようにという提案をされたというご意見も挙がっておりました。お子さんは避難所において、恐怖感から夜 泣き等の支援が必要になってきますので、まずは現実をしっかり説明し、納得させる。寝るときには手をつないで寝てあげる。そして、抱きしめてあげる。この ような支援方法。または、いちばん不安なのは、その保護者の方、お母さんになりますので、お母さんの支援方法も十分に検討し、指導していってあげるという ことが一つの方法となっています。 ◆視覚障害・聴覚障害 避難所に おいての広さ、構造、間取り等の点字表示などにおきまして十分な説明を最初の段階でしてあげるということが、一つの方法かと思います。また、給水車等の側 面に文字表示をつけることで聴覚障害者の方に情報の提供ができるかなということ。あと、通路上に荷物が積んであって視覚障害者の方の通行の妨げになること があったということで、環境整備ということが挙がっております。 ◆内部障害 内部障害につきましては、透析患者の方を受け入れる病院というものは限られておりますので、そのような方に対して施設情報をアナウンスするということが挙 がっております。また、病気に対する食事管理等の難しい方もいらっしゃいますので、そのような方に対する対応も一つの課題として挙がっておりました。 ◆肢体不自由 主にバリアフリーの問題が挙がっております。避難所がバリアフリーでない、避難所へ行くまでの経路がバリアフリーでない。その部分の整備が必要。または、身障トイレ等の確保ということが問題として挙がっておりました。 ◆知的障害 知的障害者の方は対人関係に不慣れな方が多く、または環境の変化や状況の把握を苦手される方が多く、パニックを引き起こすケースがあり、実際避難所での生 活が難しく、避難所に行かないという方が多くいらっしゃったということです。対応として、一時預かりの施設での対応を考える、地域マップを行政で用意す る、障害の特性をボランティアが理解する、使い慣れた社会福祉施設の利用、保護者との連携、ということが挙がっております。 ◆精神障害者 生活環境の変化により情緒が不安定となり、本人は入院を希望するが受け入れてくれる病院がないということがあったり、睡眠障害による昼夜逆転や薬の副作用 によって起きる体のだるい状態、その状態を周りの人が見て理解していただけるのかどうかということが不安であるという思いを当事者の方が持っておられると いう意見もありました。そういうところから、安心して寄り合える場の提供、または服薬の管理のサポート等が一つの対策として挙がっております。 ◆その他の意見 介助犬の理解。ペットを安心して預けられる場所の確保。そして、少しでもプライバシーのあるところでの生活を望まれるかたが車中泊をされますが、その場 合、エコノミー症候群等の症状による突然死を招いてしまうことも課題としてあります。先ほどのペットの問題がありましたけれども、ペットと一緒に避難生活 ができないということで車中泊になり、それがまた車中泊で突然死を増加させる要因の一つとなっていることも考えられるということが意見として挙がっており ます。車中死に対する対策も一つの課題かと思われます。 ◆まとめ 安心して快適な生活を送るにはということで、障害者が避難できる施設を把握し、避難所の構造上の問題を改善する。医療機関が連携し支援を継続する。避難場 所は家庭と同じように安心できる場所とする。お互いに声をかけ合い被災者どうしの人間関係が保てるようにサポートする。ということになっております。 分科会のテーマでしたが、安心できるという言葉がありましたけれども、安心、安全ということは人間の生活の根底にある部分であると思います。たとえ災害時 であっても避難所という場所が、人々に安心、安全という思いを与えられる場所とならなければならないと私は思います。お互いが遠慮し合うような関係がある 中では、そのような安心という感情は生まれないのではないかと思います。その部分を支えるためにも、人と人とをつなぐ我々ボランティアのコーディネーター 力が問われると思います。 最後になりますけれども、我々の生活の中で安心感を持てる、それは慣れた環境の中で、または見慣れた顔の中に自分のい る居場所がある、それが安心感を持てる要因の一つでないかと思われます。その部分の日常からの人と人との関係づくり、高齢者、障害者の人を孤立させないよ うな地域づくりにつきましては、次のC分科会の内容に入っていきますので、お任せしたいと思いまして、B分科会の報告をまとめさせていただきます。 【C分科会】 C分科会は、今回は満員御礼になりまして二つに分けて行わせていただきました。ただ、進め方は同じです。事例報告をしましてグループ討議。それは災害時に おける問題点を克服するためにということで、課題、対策、まだ残された課題、そして最後に助言者よりまとめをいただきました。 ◆全カテゴリーに共通する課題 大きく分けて二つあります。まず、双方の情報不足ということで、要援護者の方の情報が少ない。それから、要援護者への情報が少ない。双方が情報不足で、こ れが理解不足につながっているのではないかという意見。それから、災害時の情報伝達が平常時のようにはなかなかうまくいかないという意見がありました。 その対策をどうしたらいいかということで、これも共通した対策ですが、自主防災の組織間の協定でカバーするとか、近隣よりも信頼できる人をもっと増やすと いうようないろいろな意見が出ましたが、こちらでも一貫したものは二つでした。一つめは、要援護者は助けられるばかりの存在ではなく、防災とかまちづくり のためにいろいろ活躍していただこうという意見。もう一つが、いちばん上に書いてありますが、お祭りとかおすそ分けというふうな日本の文化を再評価して、 災害のためにまちづくりをするのではなく、まず、あいさつなど小さいことからまちづくりを進めていったらどうかという対策が出ていました。 ◆高齢者 一人暮らしで近所づきあいのない方、または閉じこもりの方をどうしたらよいのか。または、寝たきりとか認知症の方、一人暮らし、老夫婦の方など、生活状況 が分からないという問題点に対して対策は、あいさつとか声かけ。それから高齢者のかたが持っている資格をもっと活かしていただこうということで、実際に調 査をして地域に医療関係者が何人もいることが分かったという事例も報告されていました。 ◆子ども 特に若いご両親というお話だったのですが、その中でもお父さん、特に地域行事への参加が少ないのではないかという問題点に対して、対策としては、地域ぐるみで子どもさんも参加しやすい避難訓練などを工夫してはどうかという対策が出ていました。 ◆外国人 一部の犯罪に関連し外国人の方に対するイメージが悪いということと、文化とか言語の違いからつきあい方が分からないというふうな問題点に対しまして、ま ず、外国人の方を雇っている企業が地域とつながりが薄いのではないかということで、まずその企業が地域とつながりを持てば従業員のかたもつながりが必然的 に出てくるのではないかという意見。それから、魅力的な防災訓練という意見が出ていました。 ◆視覚障害・聴覚障害 問題点としましては、知らない人に呼ばれても行きにくい。自分から地域行事に参加しにくい。情報を得ることができても移動が困難である。そうした問題点へ の対策は、自分の身は自分で守るという、これは当事者の方から出された意見です。それから、当事者が先生役で地域で防災のための手話講座などをやる。メー ルで情報伝達網を作っておく。これは成功事例をご意見としていただきました。 ◆肢体不自由 問題点としては避難所までの経路に障害物が多い。また、避難所に行っても、避難所のバリアフリーが進んでないという問題点の対策としては、当事者の方の理 解を深めて、知ってもらうという意味での社会参加の呼びかけをしようということ。それからマスコミの方、報道の方にお願いですが、どのように障害者の方が 避難したのかとか救助されたのかということを、もっと報道で流して、そこがいちばん知りたいんだということをおっしゃっていました。 ◆知的障害・精神障害 問題点として、これは実際にあった例ですが、先ほどありましたように、障害の子どもさんを持った方がなかなか避難所に行けないということで、養護学校を避 難所にしてほしいという呼びかけをしたのですが、実際には聞いていただけなかったということで、対策としては施設とか学校を避難所にするという声を粘り強 くあげていこうということ。それから精神障害の方の理解をもっとしていただいて、避難所も選べるように避難所の選択肢を増やすという意見が出ていました。 ◆残された課題 二つにまとめさせていただきます。まず、個人情報保護法、プライバシーの問題がありますが、相手を知らなければいざというときに備えられないという狭間で いつも苦しんでいると。これは永遠の課題ではないかという意見。二つめが、要援護者の方をもっと地域で理解をしようということです。以前に比べて地域にど んどん当事者の方も出ていらっしゃいますし、そういうふうな風潮もあるのですけれども、まだまだではないかという二つの課題を残しまして、C分科会の報告 を終わりたいと思います。 【D分科会】 D分科会の進行は、まずオリエンテーションがあり、次に事例報告ということで、阪神・淡路大震災、福井豪雨、新潟、避難所という4件の事例報告をいただき ました。それに対して討論者からお言葉を頂きました。そのあとグループワークを1時間20分。討論者の発表、グループワーク50分、まとめ、という形で進 める予定でした。当初の予定は、グループ12人がそれぞれグループワークを行って、その結果をまとめるという作業をする予定で進めました。 その 結果を受けて、グループワークの1回目でどういう結果が出たかということをまずご報告します。4グループでは、高齢者、子供、外国人という区分分けが可能 かどうかということで、プリミティブな疑問が出されました。それに対して、ほかにもいろいろあるのではないか。妊婦さん、一人暮らしのかた。場合によって は、援助する側、または壮年者でもそれなりの必要性があるのではないか。それを囲む形でソーシャルサポートのツールとして、いろいろなふせん紙での表現を されました。 2グループは、区分けをまたがってのグループ分けがあるのではないか。例えば高齢者、子ども、外国人と共通する部分。または知的障 害、精神障害とくくられる部分ということで、縦線の形、今、お手元の資料の縦線でくくるよりは傾聴という部分とこころのケアそのものの在り方、ボランティ アの在り方、または情報ネットワーク等のいろいろなくくり方が可能ではないかということが言われました。 1グループは、いちばん最初にコミュニケーションが大事ではないかと。ふだんからの隣近所の人とのコミュニケーションがいちばん重要ではないかという形です。 ◆高齢者 高齢者に関してはレクリエーションの場の提供、話の機会の創出という形で考えています。援護時の配慮。高齢者にはそれなりの配慮が必要。人間関係、新しい 仲間づくり。やはり人間関係が作りづらい部分で新しい仲間づくりができれば良い。例えば避難所でどういう仲間づくりが可能か。高齢者の復活は前の周りの人 たちも元気にするというふせん紙の表現もありました。 ◆子ども 心配な子の見守りとしては、学校の場合であれば教員、カウンセラーをそのままカウンセラーとして紹介するのではなくて、教員の方の友人だよという形での隠れた見守りという形が成功したという事例がありました。 また、大人の体験というのを語ることで、子どもさんの心を開くということもありました。 ◆外国人 言葉の分かる人がいないと、それなりに情報の途絶、孤立感の引き起こしということがあります。 ◆視覚障害・聴覚障害・内部障害・肢体不自由 視覚に関して一つ出たのは、交通機関がなくなったことで、近くの方が買いに出てくれたということがあったとということです。 内部障害に関しては患者さんに合わせた食事の用意をされたことがあった。 ここの四つのカテゴリーに関しましては、被害者同士の話し合いの場づくりがあるといいなと。これは対策を言っていますが、そういった問題点がある。裏返しの表現で、こういった対策があれば良いということを言っています。 ◆知的障害・精神障害 知的障害の方に関してはたくさんの人が支えることで安心感を与える。やっぱり社会的に孤立する傾向があるかなと思います。 精神障害に関しましては精神科の門が高いと。それは都会、田舎にかかわらずに多少そういった傾向があるかなと思います。 ◆こころのケアに関する一番の問題点 プライバシーがいちばん大きなネックではないか。昨今の自己中心感情でいろいろな行動パターンがありますので、そういったことも障害ではないか。障害とい うのはこころのケアを実行する場合の障害です。身近な情報の共有ができない。例えばいろんなインターネットとか遠いところの情報は簡単に入るけれど、近く の情報が共有できないということがこころのケアの部分でも大きなことではないかと思います。 ◆コミュニケーションの重要性 最終的にベースにあるのはコミュニケーションではないかと思います。いざというときに必要なのがコミュニケーション。ふだんの生活でも、隣近所であいさつ しても返ってこないといった風潮が、福井でもあるようになっています。ただし、災害時に声をかけるときに、「どうしたの」、「手を貸そうか」、「助けま しょうか」という声がスムーズに出るような感じがいちばんいいのではないかと思います。また、いろいろな災害を受けて発災後いろいろなものがあったとき に、自分の問題を閉ざす傾向があります。それに対して例えばカタルシスとか、語っていただくことで、問題を他人と共有まではいかなくても、ある程度の問題 の外在化ということで、解消するのではないかと思います。それに対しては聞く相手が必要です。 ◆その他 最近は災害時要援護者という言葉が使われています。やはり弱い立場の人というのが、言葉を易しくすればそういう形かなと思います。子どもはキャンプを通し て、「もらう」、「できる」、「あげる」ことでお互いがお互いをつなぐ役割を発揮して高齢者、子ども間でというのが神戸キッズのときのお話をいただいて ちょっと書きました。これに関しては、広く人間関係そのもののことで言えるのではないかと思います。一応そういった話をすることで、悲惨な現実からの解放 まではいかないと思いますが、息抜きができればいいのかな。孤独感情からの解放もかかわれるのではないかと思います。いったん災害が発生すると、ちょっと したことで災害を受ける立場にすぐなるのではないかと思います。 ◆まとめ いちばん最初からこころのケアということの問い直しをしようかという話で進めていました。精神科・医療職などのかみ合わせの不具合が多少見られる部分も あった。ただ、こころのケアということで専門集団だけがかかわるのかどうか。それよりは素人集団との協働というか体制づくりも可能ではないか。こころのケ アはさまざまな場面でふだんから必要なものではないか。こころのケアは、聞くこと、傾聴から始まるのではないか。多種多様な災害、リスクの多い時代、 ちょっとした歯車の狂いで、援助者側が被害者になる可能性、被災者になる可能性が高いのではないか。たまたま事例報告で1と4の部分で読み聞かせのかたと レクリエーションの関係のかたがおられて、遊びというのか、ちょっとレクリエーション気味のことが副作用のない薬ということで共感を得られた言葉で、一つ 私も気に入った言葉です。以上で、発表を終わります。 |